「地域限定保育士」という制度や名前をご存じですか?
特定のエリアに限って勤務を認める保育士のことで、保育人材の不足がなかなか解消しない中、少しでも働く人を増やすことを目的として制度化されたものであり、一部の自治体で実施されています。
このたび、こども家庭庁がまとめた制度改正のための概要案が示されました。
地域限定保育士に登録して3年経って、一定の条件を満たせば全国で勤務できる制度が始まる予定です。
一向に解消されない保育士不足。早ければ2024年の通常国会に児童福祉法の改正案として提出される見込みです。
(※2023年11月26日(日)朝日新聞朝刊を参考にしています)
2015年に始まった「地域限定保育士」
この制度自体は2015年に、「国家戦略特区(主に首都圏)」にて始まりました。
各自治体が実施する試験に合格すると、地域を限定して3年間保育士として働くことができる制度です。
ただし、保育士を確保するために「特に必要があると認めた場合」に限ります。
もちろん理想的なのは、一般の保育士資格を受験して合格するか、大学や専門学校で必要な単位を取得して保育士になること。しかしそれだけではなかなか人手不足が解消せず、以前から必要視されていました。
「地域限定保育士」は実技試験が免除される
一般の保育士試験ではピアノ伴奏などの実技試験があります。しかし地域限定保育士では実技試験は免除され、講習に代替えできます。
このように受験のハードルを下げることで「実技試験に自信がないから受験したくない」という人や「もう中高年だから今から実技の練習をして試験を受けるのは難しい」という人でも試験を受けられるように配慮しています。
地域限定保育士として1年以上の勤務経験を有する、などを条件に
地域限定保育士として3年が経過した後、4年目以降は全国で勤務が可能になります。
もし結婚や転職で違う地域に引っ越しても、この制度を使えば保育士として勤務が可能となります。
ただ問題なのは、地域限定保育士として登録だけしていて、現場で働いたことがないまま3年経過してしまったケースなど。
この場合でも4年目から全国勤務を可能として良いのか?という点。
保育士としての質を確保しなければならない観点から、全国勤務に関しては
●地域限定保育士として1年以上の実務経験があること
●研修の受講
以上の条件を満たすことが必須となる見込みです。
現場から言わせれば「適性はその人次第」なんですが・・・
私のように現場で保育士としえ長く働いていると、必ずしも資格を持っている人が、持っていない人よりも優れている、ということはありません。
もちろん、有資格者は専門的な勉強をしてきているため知識が豊富ですし、保護者からの信頼も厚いです。
ただ、保育士としての能力や適性には、資格のあるなしはあまり関係が無い気がします。
いずれにせよ、もっと働きやすい環境が整って保育士不足が解消されれば良いのですが・・・。