こども家庭庁は「小規模保育事業」について、必要性に応じて3歳以上の子どもの受け入れを認めることを決めました。
原則として2歳児までを保育する施設のため、3歳になると転園することになります。
それが負担という指摘を受けてのことです。
各保育施設に委ねることになっていますが、実際に現場で子育て支援を行っている保育士の思いは汲み取られているのでしょうか。
小規模保育事業とは
国が待機児童解消のため導入した、定員が19人以下の保育所が「小規模保育事業」です。
預かる子どもたちは原則として0〜2歳児。
3歳以上の子どもたちの発達には集団での保育が大切ということから2歳以下の子どもに限定されていたのです。
地域のニーズに柔軟に対応できる保育施設として知られており、広いスペースの確保が難しい都市部でも開園しやすいことが特徴で、各自治体でも定期的に保育の受け皿として開園してくれる民間企業や個人を募集しています。
一定基準を満たした事業所には公的補助金が支給されることもあり、待機児童問題解消の社会貢献をという名目で開園する企業がかなり増えました。
3歳児を受け入れ可能にした背景
上記の通り「小規模保育事業」の施設は原則として0〜2歳児を対象に預かっています。
しかし、3歳になるとか良い慣れた保育所から離れ、3歳以上を受け入れている保育園や幼稚園などの保育施設に転園しなければならないことから、子どもたちや保護者に負担になることが指摘されていました。
そうした声からこの度こども家庭庁は、「利用を希望する子どもの選択肢を広げる必要がある」という考えから3歳以上児についても必要性に応じて小規模保育事業の施設で預かることを認める自治体に通知したのです。
その上で、受け入れる場合は3歳以上の園児が同年代の子どもたちと交流すること、遊びを体験できることなどの機会を設けることや、これまで預かっていた2歳児以下の子どもたちが落ち着いて過ごせる保育環境を整える配慮を現場に求めています。
保育士の意見はさまざま
これまでも特例的に3歳以上児を受け入れていた小規模保育事業の施設もあるため、そういった保育施設で働いている保育士は、特に大きな変化はないようです。
しかし、保護者の希望のまま3歳以上児を新たに受け入れる施設に勤める保育士は戸惑うことも出てくるでしょう。
3歳以上の子どもたちのためにこれまでよりも外遊びや、近隣の施設、地域との関わりを深める必要が出てきます。
また、0〜2歳の子どもたちが落ち着いて食事や午睡をできる環境も整えていかなければならないことも含めて保育内容や保育方法の見直しが必要になってくるでしょう。
小規模保育事業の保育施設では少人数だからこその子どもたち1人ひとりに合わせた保育を行うことが求められるため、保育士はさらに深く成長や発達に合わせた支援が必要になります。
場合によっては保育士の離職を加速する可能性も出てくるかもしれないことを政府が考えているか気になるところですが、現場保育士は子どもたちの成長を見守っていくことになるでしょう。