減らない子どもの「パワーウィンドウ挟まれ事故」対策は?

東京都練馬区で5月21日に発生した事故で、母親が運転する車の窓に2歳の女児が首を挟まれて死亡しました。乗用車の窓はスイッチで開閉する「パワーウィンドウ」方式でした。運転席から全ての窓を操作できるものの、窓が閉まる際には成人男性でも止めるのが難しいほどの力が働きます。
事故は21日午前10時50分ごろ、練馬区石神井町6丁目の路上で、30代の母親から「子どもが車の窓に首を挟まれ、抜けない」との119番通報により発覚しました。警視庁によると、女児は意識不明の状態で搬送されましたが、約1時間後に死亡が確認されました。
(※2024年5月23日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

パワーウィンドウによる女児の死亡事故に関する詳細

捜査関係者によりますと、事故車両は普通乗用車のミニバンタイプで、窓はパワーウィンドウ方式でした。母親は運転中、後部座席にいた女児が運転席の後ろの窓に首を挟まれていることに気づいたとのことです。
母親は「娘をチャイルドシートにベルトを締めずに乗せていた」と説明しており、自宅を出る際に換気のために4カ所の窓を開けたものの、「子どもがいた場所以外の3カ所の窓を閉めたつもりだった」と話しています。
出発から約20分後に母親が子どもに声をかけたところ、返事がなかったため異変に気づいたそうです。石神井署は、意図せず女児がいた席の窓を閉めた可能性があると見て、原因を調べています。
パワーウィンドウは、車の窓ガラスの開閉を電動スイッチで行います。消費者庁などのまとめによりますと、パワーウィンドウで首や顔、指などをケガしたケースは、2009年9月以降の15年間で少なくとも10件以上確認されています。

JAFのパワーウィンドウ実験結果:安全性の課題

日本自動車連盟(JAF)は2017年にパワーウィンドウが閉まる時の力を調べる実験を行いました。車種によって力は異なりますが、この実験には3世代の男女が参加し、閉まりかけたパワーウィンドウを止められるかを試しました。
【8歳男児】両手を使っても止められませんでした。
【30代女性】片手では止められず、両手でようやく止められました。
【50代男性】片手で止められましたが、「止めるので精いっぱい」と話し、下げることはできませんでした。
また別の実験で、ゴボウと大根をパワーウィンドウに挟んだところ、どちらも真っ二つに切れました。
車種や席によっては、窓に「挟み込み防止機能」が付いており、異物が挟まると窓の上昇が止まるようになっています。しかし、別の実験では、異物が閉まる直前に挟まる場合、その機能が働かないことが確認されました。

JAFの担当者が語るパワーウィンドウ事故防止のポイント

JAFの担当者は、子どもをチャイルドシートに正しく乗せ、運転席でパワーウィンドウの「ロックスイッチ」を入れることが事故防止につながると指摘しています。また、「運転手が助手席や後部座席の窓を閉める際は、十分安全を確認し、一声かけることが大切です」と話しています。